代表ご挨拶

代表メッセージ

社会福祉法人みなと福祉会 理事長高木 弘己

50年の歴史を受け継いで

50年ほど前、全国各地で「公害反対・老人医療の無料化・ポストの数ほど保育所を」などの市民の願いをもとにした社会運動が大きく巻き起こりました。その頃に港区でも、障害者の願い「学び・働き・安心して住む場所をもち」人間としての権利を保障してほしいという取り組みが大きくなりました。今も続く「仕事や生活に憲法を」の取り組みでした。そうした中で、障害児のための「みなと日曜学校」の取り組みが始まり、そして社会福祉法人「みなと福祉会」が1990年に創設されました。

以後、約50年にわたり「どんな重い障害のある人でも安心して暮らしていける地域社会」をめざして障害者運動、施設づくり、支援の提供などに取り組んできました。現在では、イルカ作業所、しおかぜ作業所、うろじの家、わーくす昭和橋、あしたの家などの日中事業所、みなとホーム(グループホーム)、居宅支援事業所であるネットワークみなと、放課後等デイサービスさざなみ、相談支援事業所などの事業を運営し、200名を超える障害児者が日々、働き、学び、生活をエンジョイしています。

就労支援では、地域の高齢者の方へお弁当を届ける配食サービスを始めとして、法人内の事業所で育てた野菜を使用した肉まん、餃子の製造や縫製品、野菜の栽培、受注作業など利用者のニーズにあわせて幅広く取り組み、地域の方々に協力していただきながら働く喜びと生活の向上にむけて努力しています。

みなさんには、これまでのご協力に感謝するとともに、ひきつづきご支援やご協力をおねがいいたします。

障害者権利条約の精神をひろめていくこと

2008年に国連で発効し、2014年に日本も批准した障害者権利条約はすでに10年を経過しています。この基本的な考え方は「すべての人々の人権尊重」を基本に、「障害があっても一人の人間として差別を受けることなく自由を保証し、個人として大切に扱われること」です。障害者が求める「私たちぬきに私たちのことを決めないで!」と社会が「必要な合理的配慮を」おこなうことだと思います。
残念ながら現実は、この10年間でも障害者に対する虐待はあとを絶たず、コロナ禍を経て厳しい事態となっています。さらに軍事費の増大は社会保障費の削減につながり、格差がますます拡大し、弱肉強食の社会、戦争の社会につながるも危険もあります。

ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために

しかし困難になっても、人間の歴史はそれを乗り越えてすすんできました。それはお互いの協力・連帯があったからです。私たちは、お互いを尊重し、尊敬し、協力しあう力があります。障害者の運動も、他の人々とともに理解し協力しあう努力が一層求められます。

「あなたの成長がわたしの発展の糧になり、わたしの発展があなたの成長の糧になる」
「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために」

そんな心で働き、生活をしていきたい方たちとの出会いをたのしみにしています。これからもみなさんの力をお借りしながら、この地域が障害のある方たちも交えたすべてのみなさんにとって住みよい街になるよう、努力をつづけていきたいと思います。